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本当の美しさを求めてーかぐや治療院

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iPS誕生までの流れ

iPS細胞誕生までの研究の流れ

iPS細胞は受精卵のようなどんな体の細胞にでもなれる細胞を体細胞から作るということを目指して研究されました。

受精卵のような細胞があれば失われた組織を補って体を再生することができるという夢のような細胞です。
iPS細胞誕生までにはヒントとなる研究の流れが3つありました。
体細胞の初期化、細胞の運命制御、ES細胞の作製です。

初めに体細胞の初期化についてです。私たちの体は1つの受精卵から発生が起こりいろいろな細胞に分化していきます。
その過程で遺伝情報がどのように変化しているのかは謎に包まれていました。
1960年頃はある細胞になっていくうちに遺伝情報が減っているのではないかという説が定着していました。

その考えを覆したのがジョン・ガードン博士の実験でした。
受精卵はいろんな体の細胞になれる細胞ですが、受精卵からその細胞の設計図である核を抜いて代わりに腸の細胞から取り出した核を入れました。すると腸の細胞だけでなく体中のいろいろな細胞、いろいろなパーツを持つオタマジャクシが出来ました。つまり腸になった細胞は腸の設計図を持っているのではなく体全体の設計図を持っていることが分かりました。
その後、心臓、肝臓、皮膚などの細胞から同様にオタマジャクシを発生させ、今ではよく知られていることですが全ての細胞が体の設計図を持っているということを証明しました。
ここで核の情報が受精卵のような状態に戻ったことを初期化と言います。
ちなみにガードン博士はこの体細胞の初期化の発見により2012年に山中先生とノーベル生理学・医学賞を共同受賞されました。

また核移植によってできたオタマジャクシはもとのオタマジャクシと同じ設計図を持っていることからクローン技術が生まれました。1997年にはクローン羊「ドリー」が世界中のニュースとなりました。

当時はクローン技術が大きな話題となりましたが、このウィルムット博士らの実験は哺乳類でも核の移植による体細胞の初期化が起こることを示しています。
ここで体の全ての細胞が同じ遺伝情報を持っているのであれば核の状態を変化させることでもとの受精卵のような状態に戻せるのではと考えました。

次にカギとなったのが1つの遺伝子で細胞の運命が変わるという発見です。皮膚の遺伝子に「MyoD」という遺伝子を導入すると筋肉の細胞になるという報告がありました。

またハエにおいては「Antennapedia」という遺伝子に異常があるハエでは本来触覚になる部分に足が生えてきました。これらは少数の遺伝子によって細胞の運命を変えられるということを示しました。
そして最後のキーとなったのが、iPS細胞より前に登場した多能性幹細胞であるES細胞がヒトからも作製できたという報告です。多能性を持つES細胞の培養条件はiPS細胞を培養する際に大いに参考になりました。

よってES細胞ではマウスの細胞からヒトの細胞を作製するまで20年弱の時間がかかりましたが、iPS細胞はマウスで作製されてからたった1年でヒトのiPS細胞が作製されました。このようにiPS細胞の誕生までにはヒントとなる研究の流れが3つありました。次回はこれらの研究をもとに発想されたiPS細胞の誕生について紹介します。



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